アスペルガー症候群の定義について

アスペルガー症候群の定義については医学界でも意見が割れており、しばしば激しい論争も起きています。しかし代表的なアスペルガー症候群の定義としては2種類あります。

 

一つは精神医学において頻用されるAPA(アメリカ精神医学会)の診断基準 「DSM-IV-TR」や世界保健機構(WHO)の設定した、国際疾病分類「ICD-10」などいわゆる国際的な診断基準で定義されているアスペルガー症候群の概念です。
 そしてもう一つは、ローナ・ウィングらが提唱したもので、英国を中心に主にヨーロッパで使われているアスペルガー症候群の概念です。

 

ICD-10やDSM-IV-TRのアスペルガー症候群の定義

@認知・言語発達の遅れがない
(言語発達に関しては2歳までに単語、3歳までに2語文がでている)
Aコミュニケーションの障害がない
B社会性やこだわりに自閉症ほどではないが障害がある

 

なおICD-10では「アスペルガー症候群」と呼びますが、DSM-IV-TRではアスペルガー性障害と呼ばれます。
また日本や米国ではDSM-IV-TRの考え方を採用する専門家もいますが、この定義には世界中から疑問の声が上がっています。

 

ローナ・ウイングのアスペルガー症候群の定義

社会性、コミュニケーション、想像力の「3つ組」の障害があり、一見すると「自閉症には見えない自閉症」のことです。
しかし、この「3つ組」の障害の表現が、代表的な自閉症の症状とは異なり、表面的に流暢に聞こえる話振りなのにコミュニケーション障害があったり、一見疎通性のあるように見える対人交渉をみせても、相互性に乏しく非常識など、こういう症状がみられる場合は、結果的に知能的障害がないことが多いだけで、遅滞を伴っていてもその状態が当てはまればアスペルガ−症候群と診断されます。 また子供の時は自閉症で、大きくなるに連れアスペルガ−症候群になるという経過もありえます。

 

病院によって診断結果が異なることもある?

ローナ・ウィングの考えではアスペルガー症候群も3つ組の障害があることで定義されるので、当然コミュニケーションの障害も併せ持つことになります。
そういう理由から同じ子供が国際的な診断基準を適用すると自閉症であり、ローナ・ウィングの基準で考えるとアスペルガー症候群となることも少なくありません。
そして、病院によってもどちらの概念を取り入れているかで診断結果が違う場合もあり、ある病院ではアスペルガー症候群と診断された子供が、別の病院では自閉症と診断されることもありえます。